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Transmitter

A)送信機

Receiver

B)受信機

Performance

C)ドップラー環境での通信性能

第四・五世代(4G・5G)では,OFDMAと呼ばれる多重接続方式が使われているが,マルチパス環境において通信性能が悪く,誤り訂正符号の適応が不可欠である. また,移動に伴うドップラー周波数偏移が存在する場合,固有値の退化という本質的に修復不可能な通信路劣化が発生するため,通信性能が著しく劣化する.

韓は,二十年以上に渡り先進的な無線通信システムの開発を行い,データを載せる波形をサンプリングした信号を系列とみなして,究極な通信性能を実現できる系列が満たすべき数学的な性質を定め,高速アダマール変換や高速フーリエ変換で実装可能な接続可能な完全相補系列系(CCCC: Concatenative Complete Complementary Code)の概念を提案した.

CCCCに基づいた通信システム(CCC-CDMA)の送受信機は,図A)とB)で示したように,シフトレジスター/巡回シフトレジスター,高速変換器/高速逆変換器,インターリーバ/デインターリーバ,遅延装置で構成でき,OFDMAより低い計算量でもより優れた通信性能を達成できる.

本件においての知的所有権は,PCT出願済みで,すべての請求項において,新規性,進歩性及び産業上の利用可能性が認められている.

参考資料

  • H. Mizuyoshi and C. Han, "Concatenative Complete Complementary Code Division Multiple Access and its Fast Transform," in IEEE Transactions on Wireless Communications, doi: 10.1109/TWC.2023.3250659.
    Early Version

Receiver

A)LoRaの送信波形

Number

B) From F. Adelantado, X. Vilajosana, P. Tuset-Peiro, B. Martinez, J. Melia-Segui, and T. Watteyne, “Understanding the limits of lorawan,” IEEE Communications Magazine, vol. 55, no. 9, pp. 34–40, 2017.

Performance

C)CCC-CDMAのIoT応用波形

Performance

D)LoRaとの比較図

IoT通信では、より多くのデバイスをネットワークに接続させるために、通信速度よりも同時接続可能な台数が多いのが望ましい。また、大量のデバイスをハッキングから守るために、安全性を求められている。

現在主流のIoT接続方式の一つであるLoRa方式では、図B)で示した方に,周波数が線形的に変化するChirp信号の初期周波数の場所によってデータを送信するが、同時接続台数が多くなるとパケットロスが著しく増加する。 例えば、図B)で示しているように、N=500台の端末が同時に接続され、それぞれ1500パケットを送信した場合、衝突による干渉の影響で、正しく受信されるのは200パケット程度である。 また、同期獲得後、誰もが送信データを解読でき、物理層での安全が保証されてない。

一方,多相CCC-CDMAでシフトレジスターに入力するデータの数と場所を変えると,送信波形は図C)で示した通りの周波数がホッピングする波形となり,IoTに適した通信方式を構成できる.

また,ホッピングする周波数と遅延の時間を機密情報として利用すれば,物理層で安全性を保証できる.

図D)はLoRa方式とCCC-CDMAのIoT応用を,周波数利用効率で正規化して比較した曲線である. その結果、誤り率10-3以下では、提案方式がおよそ100倍以上の接続台数に対して、LoRaと同じ通信品質を達成できることを確認した。 また,LoRaはSFが高くなると全体の周波数利用効率が下がるが,提案方式はSFを高く設定すると全体の周波数利用効率も上がるので,干渉を有効に制御できる.

Receiver

A)ビット長1024の場合の性能比較

情報通信において、達成できる通信速度の上限は通信路容量で与えられ、通信路容量を達成する通信方式の開発は情報通信の究極の目標である。

一方、加法性白色ガウス雑音(AWGN)はすべての通信路に共通して存在し、AWGN通信路の通信路容量を達成できる符号の構築は、符号理論及び通信理論研究の基礎となっている。 シャノンが通信路容量の概念を提案してからおよそ70年間、AWGN通信路通信路容量を達成できる符号として、Turbo、LDPC及びPolarの三種類の誤り訂正符号が知られているが、 その中でTurbo符号は、比較的低い復号複雑度で通信路容量に最も近い性能を達成でき、IEEE 802.16e, DVB(digital video broadcasting)およびLTEなどの通信規格に広く採用されている。 しかし、従来のTurbo符号は他の二つの符号に比べて、図A)のQPPインターリーバのように送信エネルギーが増えた場合、誤り率の減少が緩やかになるエラーフロアのレベルが高い欠点を持つ。 それ故に,5G規格ではではTurbo符号が採用されず,LDPCとPolarを規格に用いられている。

実際にTurbo符号のエラーフロアのレベルを下げるための研究は、インターリーバーの設計を中心に1992年の提案直後から広く行われてきた。しかし、Kビットの置換はK!通りの可能性が存在するため、理論研究ではビットをランダムで置換するランダムインターリーバーが広く使われてきており、 その中でも図A)のS-randomインターリーバーが最も優れた性能を達成できることが知られている。 しかし、S-randomインターリーバーは距離条件を満たすまでランダムで置換を生成し、置換テーブルを保存する必要があるために、符号器と復号器でメモリを用意して符号化と復号化のときに参照する必要がある。 また、Turbo符号の高速化には、符号化及び復号化時の並列計算が必要であるが、S-randomはメモリアクセス時の衝突が発生するため、並列復号ができないので、実用的な応用は限られている。

一方,置換関数に基づいたインターリーバーの設計において、符号長が短い場合には線形インターリーバーに基づいた最適化により、S-randomインターリーバーの性能を超える構成法が知られているが、符号長が長い場合には、膨大な数の中での最適化は難問であるため、S-randomインターリーバーより性能がよく、 並列復号が可能なインターリーバーの設計方法は30年来の未解決の問題で、4GのLTE(Long Term Evaluation)通信規格ではS-randomインターリーバーより性能が劣るQPP (Quadratic Permutation Polynomial)インターリーバーを規格に採用されている。

このような難問に対し、本研究室では、Turbo符号の生成法を抜本的に見直し、符号長213以下の場合に、S-randomの性能を超えるTurbo符号を構成し、 30年の未解決の問題を解決した。 本研究室で開発した手法は、図A)で示した通り、4Gに採用されているQPPインターリーバ、最も性能が良いとされていたS-randomインターリーバ、及び5Gに採用されているLDPCよりも高い性能を達成でき、現段階では世界最強の誤り訂正符号である。

なお、本件においての知的所有権は,国内で出願済みである.

参考資料

  • K. A. Bohulu and C. Han, "Interleaver Design for Turbo Codes Based on Complete Knowledge of Low-Weight Codewords of RSC Codes," accepted for presenting in IEEE Wireless Commun. Networking Conf. (WCNC2023), Mar. 2023.
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